茅刈り体験
2008.07.25 |Category …活動報告
榎本です。
間が空きましたが,久し振りに活動の報告をさせて頂きます。
2007年12月9日,10日の二日間に渡って茅刈り体験をしました。
この日は,滋賀県でヨシを使った屋根葺き職人をしておられる
竹田さんに講師をお願いして,茅の刈り取りを行いました。
↑まずは,必要のない草を刈り取り,作業をしやすくします。
9日は,学生スタッフ2名,一般参加者8名が参加したほか,
緑の村公園や大垣市役所の職員さん,地元の方など20名近くで
休耕地に生えているススキの刈り取りを行いました。
↑職人さんの刈り取り速度には驚きました。
竹田さんと一緒に2名の職人さんが現場に来られたのですが,
皆さん高齢ながらとてもお元気で,茅の刈り取りの早さにも驚かされました。
ある程度の束を手で作って脇に挟み,鎌でまとめて刈り取る,
と聞くだけは簡単ですが,実際にやるとなかなかうまくいきません。
ようやく慣れたかな,という頃にはあらかた作業が終わっていました。
↑軽トラに乗せて,公園まで運びました。
↑写真の茅がだいたい1束の量です。
刈り取った茅は,束にまとめてわら縄で縛っていくわけですが,
軽トラに乗るのはだいたい50束程度です。
この日は,結局軽トラ5杯分くらい運び,合計247束でした。
昔は,この束を背負ったり馬にそりを引かせたりしながら,
茅場から集落まで運んだというお話も聞きました。
↑とにかく人海戦術でどんどん刈り取ります。
当日は風が強くとても寒い日でしたが,参加者のみなさんは
作業に熱中して楽しそうに茅刈りをしてくださいました。
企画側としては,単調な作業になりそうで不安もあったのですが,
いざ蓋を開けてみると,奥が深い面白い作業でスタッフも満足でした。
このあと,公園に運んだ茅の保管作業も合わせて行いました。
茅は,刈り取った直後に屋根材として使えるわけではありません。
乾燥し切らないものを屋根に使うと,水気が抜けて茅がしぼみ,
出来上がった屋根が傾いてしまう恐れがあるからです。
↑茅の束をお互いに立てかけて茅ニウを作ります。
乾燥している間も,雨や雪などが茅の上に降りかかってきます。
そのような水気や重みを防ぐために作るのが茅ニウです。
田んぼの真ん中に稲ワラが三角形に積まれているものがありますが,
あれを茅で作ったものと思っていただければ分かりやすいです。
↑ぐるっと一周したら,一段上にもう一回りさせます。
こうして,雨と雪を防ぐ茅の山が出来上がりました。
昔はこのままの状態で雨露を凌いだわけですが,
現在ではここにビニールシートなどを被せることもあります。
この状態で数ヶ月保管されたのち,倉庫や屋根裏などに保管するそうです。
↑出来上がった茅ニウはとても大きく,壮観です。
翌日の10日にも,上石津町内の別の茅場で茅刈りを行いました。
この日は,地元の方と学生スタッフのみで行いました。
地元の方はさすが農業に慣れておられる方が多く,
前日とは全く比較にならない早さで刈り取り作業が進みました。
↑10名以下で一日に100束以上は刈り取りました。
↑茅刈り作業への参加,ありがとうございました!
この日刈り取った茅が,今後の屋根葺き替え作業で使われます。
自分たちが刈った茅を使って屋根の修復作業を行い,
茅場と茅葺き屋根とのつながりを知ってもらうことができれば,と思います。
過去の記事はこちら。
◆農村計画学研究室 近況報告◆
かや刈り体験イベント☆ [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-12-17
書き込み:榎本
カヤネズミクラフト体験
2008.07.03 |Category …活動報告
初めまして。
古民家再生プロジェクトスタッフの藤田といいます。
今回は私が報告させていただきます。
カヤネズミクラフト体験についての報告です。
2007年11月23日に緑の村公園ではドングリ祭りが行われました。
会場ではドングリや木の枝などを使ったクラフト、そば打ち体験など
様々なイベントが行われていました。
その中のカヤネズミクラフト体験に参加しました。
カヤネズミクラフトは
ススキを用いてカヤネズミを作ろうというものです。
「茅葺き屋根の材料である茅であるススキに親しむこと」
を目的として行われました。
この日は
講師の方2名と一般参加者33名でした。
↑カヤネズミクラフトのお手本です。かわいくできるでしょうか。
束になったススキをネズミの形にします。
束を丸めたり、余分な部分を切ったりして次第にカヤネズミらしくなっていきます。
足としっぽとなる木の枝を接着剤で付けます。
耳は短く切ったススキを丸めて作ります。
↑束を丸めています。ぎゅっと力を入れて!
↑余分なところを切っています。
花の実、種を使って目や鼻を付けます。
仕上げに赤い木の実や葉を飾って出来上がりです。
↑完成したカヤネズミと一緒に。
このイベントを通して、
身近にありながらあまり親しみのないススキに触れ合うことができました。
「屋根葺きの材料であるススキ」としても興味を持つことができたと思います。
また、カヤネズミの住処が茅場であることも知り、
茅場の管理がカヤネズミの住処を守ることに繋がることがわかりました。
茅場の管理はどんな風に行われるのだろう・・・
そう思いながらこの日はカヤネズミと家へ帰りました。
他地域に学ぶ その6
2008.06.10 |Category …活動報告
今回も引き続き,他地域への調査を行った際のご報告です。
今回は,2007年11月3日に訪れた京都府宮津市上世屋集落の
「丹後村おこし開発チーム」の活動を見に行きました。
これまでもお話してきましたが,茅葺きの「茅」とは,
屋根に使う材料の(主にイネ科)植物を呼ぶ総称です。
全国的には,ススキやヨシが使われることがほとんどですが,
この上世屋集落では,昔からササが材料として使われていました。
↑材料のササ。地元で調達されたそうです。
「丹後村おこし開発チーム」は,立命館大学経営学部の学生たちと
地元NPOによって活動が行われている団体です。
その他,立命館大学の他学部の学生や地元の高校生など
幅広い参加者が現地に訪れ,当日は約80名の参加がありました。
当日はかなりの参加者だったため,ササを運ぶ仕事ばかりでしたが,
地元の方々と学生が一緒になって,楽しそうに作業されていました。
また,地元には現役の笹葺き屋根職人さんがおられ,
その方の年齢はなんと83歳!
まだまだお元気で,当日も屋根に登って現場を仕切っておられました。
↑右が地元の職人さん。とても83歳とは思えません。
活動に関わる地元NPOの方にこれまでのお話を伺いました。
行政で管理できなくなった古民家を地元の団体が修理することとなり,
その後の活用も含めて今後の活動を行っていくそうですが,
これまでに4年の歳月が流れたということでした。
上石津の活動について色々とお話を聞いて頂きましたが,
「まだまだこれからだから焦らずにやっていこう」との
励ましの言葉を頂けたのが印象的でした。
↑熱心に作業に取り組む学生たち。
ここで聞いた興味深い話は,学生の関わり方にも色々あるという事です。
経営学部の学生は,古民家での人々の生活や文化などに興味があり,
理工学部の学生は,屋根や建物の構造について関心があるそうです。
それでも,それぞれの学生が自分たちの楽しみのために活動に関わり,
地元の方々と協力して作業する光景には感動しました。
この日は,屋根のてっぺんまで作業が終わりませんでしたが,
翌日にまた作業を継続して行うとのことでした。
これまでも,毎年少しずつササを刈り取っては修理をする,
という活動を数年に渡って続けてきたというお話でした。
名残惜しいですが,この日だけで見学を終え,帰路につきました。
↑この日の作業が終わりました。
参加者が,それぞれの興味関心や楽しみを実現させる場として,
色々な価値観を受け入れることができるのが理想ではないか,
ということに気付かされた調査でした。
丹後村おこし開発チームのホームページはこちら。
http://www.tangoweb.co.jp/tmkt/
過去の記事はこちら。
揖斐郡大野町の調査記事も一緒にご紹介します。
◆農村計画学研究室 近況報告◆
笹葺き民家 葺き替え作業 in 宮津市 [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-11-14
茅葺き民家~in大野町&揖斐川町~ [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-11-26
書き込み:榎本
他地域に学ぶ その5
2008.06.09 |Category …活動報告
今回は,またまた他地域に学ぶシリーズに戻りたいと思います。
以前訪れたこともある兵庫県は丹波市の古民家を訪れ,
茅葺き屋根の修理後の活動について,色々とお話を伺いました。
↑見違えるように綺麗になった東芦田の古民家。
丹波市青垣町東芦田の古民家へ,2007年10月20日に訪れました。
古民家の屋根は綺麗に修理されており,修理費用の寄付者一覧が
古民家内の看板に書かれていました。わたくしの名前もそこに!
↑寄付者の名前が書かれた看板が設置されています。
この日は,「農村あかり」というイベントが開催される日で,
古民家を中心に周辺をキャンドルなどでライトアップし,
夜の農村を楽しんでもらおうという主旨のものでした。
お昼には,間接照明器具の制作体験が行われました。
そして,茅葺き屋根の修理が完成するまでをまとめた
藤原次郎さんの映像作品が,公民館で上映されました。
↑スタッフの方に代わって制作させて頂きました。
このイベントでは,本当に地元の多くの方々が古民家に関わり,
そして愛着を持って保存と活用を行おうとしているということが
ひしひしと伝わってきました。
辺りが薄暗くなり,イベントが開催されるようになると,
地元に関わりのある多くの方が古民家を訪れ,
そしてイベントの成功を地元の方と一緒に喜んでおられました。
↑ライトアップされた古民家と蓮の池。
イベントの終了までには,地元に親戚を持つ方だけでなく,
現地で調査をする大学の学生さんなども現地を訪れていました。
本当に多くの方に支えられて活動が行われているんだなぁと,
感心するとともに,上石津での活動にもこの思いを活かしたい,
と思ったのでした。
↑ただただ夜の農村に漂う雰囲気を味わう一夜。
↑古民家の中も綺麗にライトアップされました。
イベントは大盛況で,終了の9時頃まで,客足が途絶えませんでした。
この古民家では,これから地元の方を中心として活用が図られます。
この先,古民家がどのように活用され,地元で伝えられていくのか,
とても楽しみです。
藤原次郎さんの作品も見ることができるブログはこちら。
当時の記事はこちら。
◆農村計画学研究室 近況報告◆
農村あかり in 丹波市東芦田 [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-11-06
書き込み:榎本
登り窯まつり
2008.06.08 |Category …活動報告
今回は,毎年緑の村公園にある登り窯を使って行われる
登り窯まつりに参加した際のご報告です。
2007年9月29日と30日に緑の村公園を訪れました。
公園内の登り窯では,連日連夜の作業が行われ,
火の勢いを弱めないように交代で火の番をしていました。
この日は,あと数日で窯の火が全体に行き渡るという段階でした。
↑毎年参加される陶芸サークルの方々。
火の番は二交代制で,参加したのは夜の8時~朝の8時の時間。
およそ一週間に渡って火の番が必要になるので,大変な仕事です。
この時に使う燃料の薪は,約1,000束(割った松の薪が約10,000本)で,
その多さのため,一年に一度しか開催できないとのことでした。
窯の温度は約1,200度。これを保つのが火の番の仕事です。
作業に慣れた地元の方から手取り足取り教わりながら,
火が弱くなった窯の中に薪を入れる作業を手伝いました。
↑薪を入れる時間は一瞬。もたもたすると温度が下がります。
火の番の仕事は,それほど忙しいものではないですが,
火の様子をじっくり見る地道な作業が続くため,気が抜けません。
薪を入れるタイミングは,素人の自分には全く分からず,
地元の方に言われるままに,ただただ薪をくべていました。
↑薪を入れる口。熱が逃げないように塞いであります。
来年には,ここで自分たちの作品を焼いてみないか,と誘われました。
素人同然なので,それまでに練習をしたいものですが,
自分の作品のために火の番をするのはやりがいがありそうです。
火の番が終了する朝8時頃に登り窯を見ると,
もくもくと煙が上がる勇壮な姿をしていました。
この数日後,煙突から火が吹き上がる姿は壮観だということでした。
↑朝の光を浴びる登り窯。
来年のこの日を楽しみにしたいと思いました。
書き込み:榎本