他地域に学ぶ その3
2008.05.27 |Category …活動報告
榎本です。
今日は,茅葺き民家の屋根修復作業に参加した際のご報告です。
イベントが行われたのは,滋賀県彦根市にある男鬼(おおり)集落です。
非常に雪深い地域で,既に集落には住む方は一人もおられません。
最近までは,子供の自然体験活動が行政の協力のもと行われていましたが,
財政難から中止になってしまい,活用の目処が立っていませんでした。
そこで,2004年から滋賀県立大学と地元の方々が協力することで,
もう一度集落の資源を活用する取り組みを行うことになったそうです。
その活動の中で,集落に残る茅葺き民家の屋根修復が行われました。
イベントは,2007年7月28日・29日の二日間に渡って行われ,
延べ60人もの方が作業に参加されました。
中には,滋賀県立大学の先生方が多く参加されていましたし,
全国の茅葺き民家を見て歩いている方などもおられました。

↑集落の様子。水路沿いには,カワト(洗い場)も残っています。
イベントの講師には,京都の茅葺き職人さんが来ておられました。
この日来られた若い職人さんは皆さん若い方ばかりで,
この先も茅葺きの技術が後世に伝わっていくのだ,という実感が沸きました。

↑作業について,職人さんと先生から説明です。
作業は,まず足場を組んで,茅を作業に必要な寸法に裁断していきます。
丹波市の東芦田集落では,大きく丈夫な足場を作っていましたが,
ここでは比較的簡単な足場を組みました。ここでも,足場は木造です。

↑足場を組んでいるところ。この後,作業に入りました。

↑茅の裁断には,押し切り以外に剪定ばさみも使われます。
今回のイベントでは,差し茅という方法で屋根の修復が行われました。
これは,屋根を全て取り払って葺き替える方法ではなく,
古くなった茅を抜き取って,その部分に新しい茅を差し込む方法です。
この方法だと,初めて体験する人でも作業が行えるということでした。
まずは,竹製の棒(さしぎ)を使って茅をめくり上げます。
そして,古い茅を抜き取り,抜き取った場所に新しい茅を差し込みます。
最後に,差し込んだすぐ上の茅を引っ張り出して勾配を整えたら終わりです。
この作業を必要な場所で繰り返し行い,屋根を修理していきます。

↑新しい茅を差し込んでいるところ。職人の技の見せ所です。
茅葺き屋根は,勾配が命です。この角度が狂ったり凸凹ができたりすると,
屋根に水が入って茅が腐る直接の原因になってしまいます。
そのため,差し茅と言えども,勾配の調節は非常に重要な作業なのです。
この部分は,職人さんの経験に頼って行われました。

↑たたきという道具を使って屋根の勾配を整えていきます。
作業中,手が空いた参加者は,茅を採取する場所へと案内されました。
以前は,しいたけを育てるほだ木を採っていた場所だそうですが,
更に昔は,茅葺き屋根の材料であるススキを刈り取る場所だったそうです。
このように集落で管理された茅の採取場を茅場と呼んでいます。
この日は,茅場に生えた雑草の刈り取りが主な作業でしたが,
傾斜がきつい上にノイバラが生息しており,かなり冷や冷やさせられました。

↑集落で管理されていた茅場。山間の空き地によく作られました。
今回のイベントでは,大学生と教員,そして地元の方が協力して
更に職人さんまで巻き込んだ活動に参加させて頂きましたが,
活動に参加する人たちがとても楽しくそして仲良く作業を行い,
とてもよい連携をしていることが,最も印象的でした。
以前参加させて頂いた「とよさと快蔵プロジェクト」もそうですが,
滋賀県立大学での大学と地域の協働には心惹かれるものがあり,
これを自分たちの活動でも実現していきたいと強く思います。

↑二日間の作業が終了し,屋根が無事修復できました。
当時の記事はこちら。
◆農村計画学研究室 近況報告◆
差し茅体験 in 彦根市男鬼集落 [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-08-06
書き込み:榎本
今日は,茅葺き民家の屋根修復作業に参加した際のご報告です。
イベントが行われたのは,滋賀県彦根市にある男鬼(おおり)集落です。
非常に雪深い地域で,既に集落には住む方は一人もおられません。
最近までは,子供の自然体験活動が行政の協力のもと行われていましたが,
財政難から中止になってしまい,活用の目処が立っていませんでした。
そこで,2004年から滋賀県立大学と地元の方々が協力することで,
もう一度集落の資源を活用する取り組みを行うことになったそうです。
その活動の中で,集落に残る茅葺き民家の屋根修復が行われました。
イベントは,2007年7月28日・29日の二日間に渡って行われ,
延べ60人もの方が作業に参加されました。
中には,滋賀県立大学の先生方が多く参加されていましたし,
全国の茅葺き民家を見て歩いている方などもおられました。
↑集落の様子。水路沿いには,カワト(洗い場)も残っています。
イベントの講師には,京都の茅葺き職人さんが来ておられました。
この日来られた若い職人さんは皆さん若い方ばかりで,
この先も茅葺きの技術が後世に伝わっていくのだ,という実感が沸きました。
↑作業について,職人さんと先生から説明です。
作業は,まず足場を組んで,茅を作業に必要な寸法に裁断していきます。
丹波市の東芦田集落では,大きく丈夫な足場を作っていましたが,
ここでは比較的簡単な足場を組みました。ここでも,足場は木造です。
↑足場を組んでいるところ。この後,作業に入りました。
↑茅の裁断には,押し切り以外に剪定ばさみも使われます。
今回のイベントでは,差し茅という方法で屋根の修復が行われました。
これは,屋根を全て取り払って葺き替える方法ではなく,
古くなった茅を抜き取って,その部分に新しい茅を差し込む方法です。
この方法だと,初めて体験する人でも作業が行えるということでした。
まずは,竹製の棒(さしぎ)を使って茅をめくり上げます。
そして,古い茅を抜き取り,抜き取った場所に新しい茅を差し込みます。
最後に,差し込んだすぐ上の茅を引っ張り出して勾配を整えたら終わりです。
この作業を必要な場所で繰り返し行い,屋根を修理していきます。
↑新しい茅を差し込んでいるところ。職人の技の見せ所です。
茅葺き屋根は,勾配が命です。この角度が狂ったり凸凹ができたりすると,
屋根に水が入って茅が腐る直接の原因になってしまいます。
そのため,差し茅と言えども,勾配の調節は非常に重要な作業なのです。
この部分は,職人さんの経験に頼って行われました。
↑たたきという道具を使って屋根の勾配を整えていきます。
作業中,手が空いた参加者は,茅を採取する場所へと案内されました。
以前は,しいたけを育てるほだ木を採っていた場所だそうですが,
更に昔は,茅葺き屋根の材料であるススキを刈り取る場所だったそうです。
このように集落で管理された茅の採取場を茅場と呼んでいます。
この日は,茅場に生えた雑草の刈り取りが主な作業でしたが,
傾斜がきつい上にノイバラが生息しており,かなり冷や冷やさせられました。
↑集落で管理されていた茅場。山間の空き地によく作られました。
今回のイベントでは,大学生と教員,そして地元の方が協力して
更に職人さんまで巻き込んだ活動に参加させて頂きましたが,
活動に参加する人たちがとても楽しくそして仲良く作業を行い,
とてもよい連携をしていることが,最も印象的でした。
以前参加させて頂いた「とよさと快蔵プロジェクト」もそうですが,
滋賀県立大学での大学と地域の協働には心惹かれるものがあり,
これを自分たちの活動でも実現していきたいと強く思います。
↑二日間の作業が終了し,屋根が無事修復できました。
当時の記事はこちら。
◆農村計画学研究室 近況報告◆
差し茅体験 in 彦根市男鬼集落 [活動報告]
http://ruplan.blog.so-net.ne.jp/2007-08-06
書き込み:榎本
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